病院で勤務していると、発達障害であるADHD、ASDの子どもの受診にはよく出会います。落ち着いがない 、友達と仲良くできない、こだわりが強くて学校での集団行動ができないなどの行動面での問題が受診のきっかけとなるようです。
しかし、読み書き障害である学習障害、ディスレクシア、軽度知的障害、境界知能の子どもが、それが理由で病院を受診することは稀です。勉強ができないことで病院へ相談に行くことはあまりイメージできませんよね?病院に罹ったとしても「勉強は学校か塾に相談してください」と言われてしまうでしょう。そのような子は、二次的な情緒障害や不登校が生じた場合に病院へ受診されることが多いように感じます。
そして、多くの方はその時に初めて、WISC知能検査を受ける。しかし、WISCは知能の一部分を計測するもので、読み書き障害、学習障害は見つけられません。別の検査が必要なのですがそれを受けるのには至らず、背景の原因が見つけられないまま、大まかに「発達障害」となっているケースに出会うこともあります。
そのような境界知能、グレーゾーンの子どもたちの事例と、医療・心理分野の抱える問題については宮口幸治先生が『ケーキの切れない非行少年たち』(新潮新書)で分かりやすく説明してくださっています。
「勉強ができない」で塾にきた段階で、特性に気づいてあげることができたならば、できる支援の選択肢が増えます。そして、必要なトレーニングが受けられる環境を用意してあげることで、その子の育ちを支えられます。だから、臨床心理士のいる学習塾が必要なのです。