非認知能力(non cognitive abilities)とは、学力や知能検査で測定される知能である「認知能力」ではない、何かの課題に対して一生懸命に取り組み、思考して良い行動を選択し、他者と協働して物事を処理することができる心理的な機能のことを言います。「社会情動スキル」「21世紀型スキル」とも言われ、文科省の学習指導要綱でいう「学びに向かう力・人間性等」に当たる能力です。色々な心理特性から構成されているため専門家の中でも複雑な概念となっていますが、学力や知能ではない「継続して学びへ向かう力」「良い結果をもたらす性格特性」のことと理解していただければわかりやすいかと思います。
具体的にはどんな心理特性のこと?
代表的なものには、困難な目標にもじっくりと取り組む情熱と粘り強さの「誠実性」「グリット」、目標達成に向けて自分を律する「自己コントロール「感情調整」」新たな知識や経験へのモチベーションとなる「好奇心」「楽観性」、自分や人を大切にする「自尊感情」「セルフコンパッション」「協調性」、心の力である「マインドフルネス」「レジリエンス」などがあります。本当にたくさんの項目があります!どれか一つを高いと良いというものではなくバランスが大切です。
どうして非認知能力が大切??
今までは「知能」などの認知能力が重視され「頭の良さ」が社会で成功するには必要とされきました。しかし、最新の研究では「非認知的能力」「社会情動性的スキル」も同じくらい大切であり、それは鍛えることのできるものであるという結果が注目されるようになりました。非認知的スキルは「継続して学びへ向かう力」です。複雑で変化の早い現代社会では、自分で思考しながら学んでいく力が生涯を通して必要となります。非認知能力を幼少期には育てることの大切さについての研究は、ノーベル経済学賞を受賞したジェームス.J.ヘックマンの研究で、膨大なデータと数式でその内容が報告されています。
非認知能力を高めると「学力」も上がる!その方法は?
非認知能力を高めると、自然と学びへ向かう力が育ち、認知能力である学力も向上するいう研究があります。「スキルがスキルを生む」と言われます。大切なことはバランスよく双方が高められることです。そのためには、子どもの特性を理解して、その子が自分らしく入れる環境での成功体験の積み重ねと、失敗した時でもまたチャレンジしようと思える周りの大人の優しい受け止め方信頼感、子どもの気持ちに寄り添うサポートが必要です。当たり前のようなことですが、この当たり前が子どもの成長にとってはとても大切です。
J.J.ヘックマンらの論文はこちら→Flavio Cunha, James J. Heckman, Susanne M. Schennach.(2010)ESTIMATING THE TECHNOLOGY OF COGNITIVE AND NONCOGNITIVE SKILL FORMATION (Econometrica, Vol. 78, No. 3 (May, 2010), 883–931)