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完璧主義と付き合う方法

完璧を目指さないこと”Don’t strive to be perfect”


今回は『完璧主義の罠』の著者である心理行動科学者のトーマス・カランのご紹介です。トーマスは完璧主義の研究者として有名で、著書には『完璧主義の罠』などがあります。ロンドンのスクールオブエコノミクスの心理行動科学部の准教授です。

完璧主義とパフォーマンスには関係がない


完璧主義とパフォーマンスには何の関係もないという研究結果があります。完璧主義の人は一生懸命努力するが、成功する可能性は高くないという内容です。その理由のひとつは、完璧主義的な人は一生懸命に働くけれども、継続ができないからです。つまり、持続性・グリットが少ないと言われています。完璧主義の人は一つの物事を完璧にするために非常に多くの時間と労力を割きます。しかし、その努力に対しての見返りが十分に得られないことが多く、逆効果となり消耗していくからです。

 

完璧主義は大人だけでなく、子どもにもその傾向を見ることができます。例えば、勉強をする時、ノートの綺麗さにこだわり何度も書き直しをして課題が進まず、本人も消しゴムだらけのノートを見て疲弊することがあります。少し難しい課題に挑戦することへの苦手意識も高く、失敗に対してとても敏感です。

完璧主義者の多くが自己破壊の世界チャンピオン


困難な状況に陥ったときや、失敗してしまうかもという状況になると、完璧にできなかった時の不安や羞恥心、恥ずかしさをとても感じやすい傾向にあります。完璧でないことは自分の欠点のように感じます。そのため、失敗を恐れて先延ばしにしたり、諦めてしまうのです。失敗を避けようとするあまり、完璧主義者は失敗の可能性を高めるようなことをしてしまうのです。

失敗や挫折を受け入れて立ち直るレジリエンス力


では、目標を下げてみて完璧にできるラインを変えてみることはどうでしょう?多くの場合はそうしてもうまくいきません。やはり、どこかで壁に当たる。むしろ、挫折や失敗、計画通りにいかないことが避けられないことを受け入れることを学ぶことが重要です。完璧ではなく完成を目指す。そして、誰でも失敗はするという経験に心地よく寄り添える心の回復力であるレジリエンスを高めていくことが大切です。完璧主義は成功につながらないことを認識することがまず一歩です。