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発達障害の二次障害とは?

専門家が解説する発達障害の二次障害とは?


子どもだって明るく元気ばかりではいられません。落ち込んだり、自信がなくなったり、何もかもつまんなくなることもあります。その状況が長期化し、その原因の背景に子どもの持つ発達特性がある場合を発達障害における二次障害がある状態といいます。「どうせできないもん」「もう嫌」「僕なんてダメだ」そんな言葉や腹痛、頭痛などの身体症状や、癇癪や情緒が不安定な様子は子どもからのSOSかもしれません。

発達障害とは?


発達障害とは、自閉症スペクトラム症(ASD)、注意欠如・多動症(ADHD)、学習障害(LD)、限局性学習症(SLD)、発達性運動協調障害(DCD)などの生まれつきの脳の機能的な問題が生じており、コミュニケーションや学校生活、生活に何らかの苦手さや困り感が出ている状態をいいます。

子どもによく見られる二次障害とは?


 発達障害の特性のある子は、日常で感じるストレスの種類も数も多くなります。例えば、ASDの子は人との関わりが苦手で、お友達とトラブルが多くなり、その理由も自分ではわからない、何故かいつも自分ばかり怒られていると自尊心が傷つくこともあります。ADHDの子どもの場合は、じっとしていることが苦手で動いてしまうために注意をうけ、分かっているけれどもできないことでイライラが溜まっていき癇癪を引き起こしたり、情緒不安定になることもあります。読字障害のあるLDの子どもは、文字が読むことが非常に苦手なために、読むことで精一杯となり授業の内容を理解するのに苦労します。それが原因で、学校は楽しいけれども、学校に行きたくないとなるケースもあります。特性が原因で、気分の落ち込みや、状況が把握できない不安、それに伴う身体症状(腹痛、頭痛、吐き気)や、失敗経験の多さによる自尊心や自己肯定感が育っていかないことなどが二次的に引き起こされた状態を、発達障害の二次障害・二次的な問題と言われます。大人が気分が落ち込んでやる気がなくなり、仕事の行けない、家事ができないのと同じで、臨床場面では不登校という状態で出会うことが多いです。

大人でも見られる発達障害の二次障害


大人の場合、職場や人間関係のストレスでの落ち込み、不眠、パニック発作、うつ症状で初めてメンタルクリニックや心療内科・精神科を受診される方がいます。そして精神症状に対しての投薬などの治療がされますが、その背景にその人の持つ発達特性が関連しているケースは少なからず見られます。そこで初めて、発達障害であることを知るケースが「大人の発達障害」と言われるものです。彼らは「生きづらさを感じながらもなんとかやってきた。」「周りと同じようにできなくて失敗ばかりしてきた。」「みんなができることができないのは自分のせいだと思って生きてきた。」と話します。これらは、発達障害の二次障害が長期化してより複雑な形で現れてきたケースです。大人の場合は、うつ病と発達障害の二つの診断がつくことも多々あります。

二次障害・二次的な問題を防ぐには?


 できるだけ子どもの特性に早く気づいてあげ、理解しサポートを受けられる環境を整えてあげることです。まずは、その子の心の中でどのように感じているのかを聞いてあげることです。そして、周りがストレスを感じにくい環境を作ることで、二次的な問題は最小限になるか、全く生じないケースもあります。ストレスを減らすだけでなく、得意なところ・できることは褒めて伸ばして、特性の欠点をカバーする方法(バイパス法)を作ることも良いことです。その子の特性を知り、受け入れるという周囲の理解と環境調整、行動による支援が大切となります。病院などの臨床場面で出会った時点では、解決すべき問題が多く、複雑になっており、回復するのにも時間がかかります。ですので、早く気づいてあげることが何よりも大切です。二次障害は予防できるものです。